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セミナー・イベントレポート

「小ささは強さになる」──アステリア平野氏が示す中小企業の未来

東京・銀座で8月28日、アジアスモールビジネス連盟(ASBF)の特別イベント「アステリア平野氏と考える、「小さいこと」の価値 〜 Small, Decentralized, Collaborative 〜」が開かれました。

特別ゲストとして参加した、アステリア株式会社創業者であり代表取締役社長の平野洋一郎氏は、大企業中心の時代から、自律・分散・協調へとシフトする新しい潮流について解説。日本の中小企業が直面する課題と未来を拓くヒントを提示し、参加した中小企業の経営者らは熱心にメモを取っていました。

<特別ゲストプロフィール>

平野 洋一郎/アステリア株式会社 代表取締役社長/CEO
熊本県生まれ。熊本大学工学部の学生時代にソフトウェア開発ベンチャー設立に参画。1987年〜1998年、ロータス株式会社(現:日本IBM)でマーケティング関係の要職を歴任。 1998年インフォテリア(現:アステリア)株式会社創業。2007年東証マザーズに上場。2018年東証1部上場。公職として、京都大学経営管理大学院特命教授、ブロックチェーン推進協会代表理事、先端IT活用推進コンソーシアム副会長、ノーコード推進協会ファウンダーMIJS理事、熊本経済同友会常任理事など。

ノーコードとデータ連携で現場が動く──アステリアの挑戦

平野氏は冒頭、1998年の創業以来「つなぐ技術」を軸に成長してきたアステリアの歩みを紹介しました。同社は受託やカスタマイズを一切行わず、製品型ソフトウェアで勝負しています。主力であるノーコードのデータ連携プラットフォームは、プログラミング知識がなくても業務アプリ構築を可能にしていることから、今では1万社以上が導入しています。平野氏は「現場の人材が自分たちで解決できることが競争力になる」と語り、日本の中小企業におけるノーコード活用の意義を示しました。

また、講演を通して平野氏が訴え続けたのが、「組織の進化」と「マインドセットの転換」です。平野氏は、従来の中央集権的なピラミッド型組織が、環境変化のスピードに追いつけなくなっていると指摘。これからは必要な時に結び直す「動結合」が主流になると述べました。

さらに、VUCA(不安定・不確実・複雑・曖昧)の時代においては、PDCAではなく「OODA(観察・状況判断・意思決定・行動)」で迅速に回す思考が必要であり、準備過多よりも瞬発力が価値になると説きました。

5つの発想転換──投資・オルタナティブ・ドル思考・OODA・個要

平野氏は、これからの時代に必要となる「五つの発想転換」を提示しました。

第一に、変化対応を「対策」ではなく「投資」として位置づけること。

第二に、バックアップではなくオルタナティブを考えること。

第三に、円建てだけでなくドル建てで考える視点を持つこと。

第四に、PDCAではなくOODAを回すこと。

そして第五に、雇用を「雇われる関係」と捉えるのではなく「個要=個々に必要とされる関係」に置き換えることです。

また平野氏は、AIの進化についても具体例を交えて言及しました。これまでAIは「便利な機能を使う」存在でしたが、これからは「任せる」存在へ移行するというのです。平野氏はアメリカWaymoの自動運転タクシーの体験を紹介し、「360度のセンサーで人間以上に安全に運転する。こうしたAIに、実際に(運転を)任せられる時代が始まっている」と指摘しました。

直販ゼロ、100%パートナーモデル──エコシステムでスケールする戦略

平野氏が強調したのは「直販を一切行わない」という戦略でした。メーカー直販と代理店が競合するとエコシステムが育たないため、アステリアの主力製品「ASTERIA Warp」の販売は、すべてパートナー経由にしているといいます。短期的な利益よりもスケールを優先し、パートナーと共に市場を拡大する姿勢は、多くの参加者にとって学びとなりました。

国際展開については「日本発のソフトウェアを世界で使ってもらう」という目標を語り、日本の自動車や家電が世界に広がった歴史を引き合いに「ソフトも必ず同じ道をたどれる」と強調。さらに、ブロックチェーンやステーブルコインがもたらす未来の金融像を示しました。

教育と産業の断絶を超える──日本に必要な産学連携の再構築

質疑応答において平野氏は「日本の教育は最新技術に追いつけていない」と指摘。アメリカや中国との比較を踏まえ、産学連携が日本に不可欠であると力強く訴えました。

最後に平野氏は、自律した小さなチーム同士がつながり、AIとパートナーの力を活用して、世界に価値を届けていくというこれからの組織のあり方を提示。「組織の小ささは、弱点ではなく強みである」と締めくくりました。

今回のイベントは、参加者の満足度も高く、改めて小さな組織の可能性に多くの経営者が期待を寄せていることが浮き彫りとなりました。ASBF Japanでは、これからも同様のテーマのイベントを企画してまいります。

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