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「未来を描き、社会を動かす」ASBF Japan Meetupイベント開催レポート― 中小企業がこれからの時代を切り拓くための視座とは ―

ASBF Japan(アジアスモールビジネス連盟 日本支部)は、「People(人)」「Purpose(存在意義・存在理由)」「Planet(地球)」の3つのPを中核に、アジア全域のスモールビジネスの未来を拓くネットワークづくりを進めています。今回のMeetupイベントでは、代表・田中森士がASBF Japanのビジョンと国際的な連携の展望を紹介。続く基調講演では、未来予報株式会社代表でありSXSW Japan代表の宮川麻衣子氏が登壇し、「未来は当てるものではなく、備えるもの」という視点から、変化の時代を生き抜く中小企業に必要な「未来を描き、創る力」が語られました。未来の理想ユーザーを思い描き、ストーリーを起点に社会を動かす——。宮川氏が提示するビジョンに、参加者らは熱心に聞き入りました。

日本からアジア、そして世界へ──ASBF Japanのビジョンと存在意義

イベントは、ASBF Japan代表田中森士によるイントロダクションからスタートしました。

ASBF(Asia Small Business Federation)は、アジア全域でスモールビジネスの支援と国際ネットワーク構築を進める非営利組織です。日本支部では「People(人)」「Purpose(目的)」「Planet(地球)」の3つのPを中核に据えた価値観を提唱しており、日本的・アジア的なビジネス哲学を「アジアから世界へ」発信することを使命としています。
田中は、スモールビジネス支援の一環として出版された書籍『なぜ看板のない店に人が集まるのか』や、日本経済新聞出版から刊行された『マーケティングZEN』などを紹介。特に後者はASBFの思想につながるものであり、「日本的マーケティング」の可能性を再定義する一冊です。

グローバルネットワークと今後の展望

また田中は、ASBF Japanの取り組みについても紹介。日本での社団法人化に向けた準備を進めると同時に、国際的な連携も活発に展開中です。今後は会員制度の正式スタート、海外視察ツアー、主催カンファレンスの紹介、さらには「BELLA AWARDS(農業分野の女性起業家を表彰するアワード)」の拡充も計画。来年からは安倍昭恵氏が審査委員長に就任予定で、活動の幅はますます広がる見込みであることを説明しました。
また、インドネシアのeコマース企業やアジアのイノベーション拠点への視察など、現地の経済エコシステムに触れる機会も創出中。こうした国際的視点を日本のスモールビジネス経営者に届けることも、ASBF Japanの重要な役割だと強調しました。

ゲストスピーカー:宮川舞子氏が語る“未来予報”の考え方

「未来を予測するのではなく、予報して備える」

後半は、未来予報株式会社代表取締役であり、SXSW Japan代表も務める宮川麻衣子氏による基調講演。テーマは「中小企業は未来を描け──変化を恐れず、自ら舵を取る経営のヒント」。
宮川氏は「未来予測」ではなく、「未来予報(Future Forecast)」というアプローチを提唱します。宮川氏は講演で、未来とは「当てる」ものではなく「備える」ものであり、正確性よりも「創造力」が求められると説明。その上で、未来予報は事業者のレジリエンスを高める鍵になると語ります。
さらに「バックキャスティング(未来から現在を考える)」の重要性にも言及。フォアキャスト(現在から未来を積み上げる)では見えにくいチャンスも、未来からの視点で捉え直すことで事業の可能性が広がると強調しました。

SXSWと未来をつなぐ──小さな企業から世界へ

宮川氏自身の原体験として語られたのは、SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)への挑戦です。わずか数人の小規模チームながら、自らSXSWにプレゼンを持ち込み、日本のエバンジェリストとして活躍するに至った過程が紹介されました。
「“できない理由”を信じるのではなく、“できる根拠”を自分で描く。すると、世界は驚くほど変わる」──。宮川氏のメッセージは、参加者の心を強く打ったようです。

「理想のユーザー像は“未来”からやってくる」

まだ存在しないユーザーを思い描く力

講演の中盤では、AirbnbやLyftといった企業が実践した「未来の理想ユーザーを創造する」手法が紹介されました。
既存の市場ニーズから出発するのではなく、「こんな人が将来現れるはずだ」という想像からサービスをつくる発想が、革新的なビジネスモデルにつながると説きます。
「他人の家に泊まることが当たり前になる世界」「タクシーではなくフレンドリーなライドシェアが浸透する社会」──。そうした「未来の風景」を描けるかどうかが、新しい価値創造の第一歩だというのです。
また宮川氏が紹介した「亡くなった愛犬にVRで再会する」というプロジェクトは、強い感情価値を伴うストーリーによって、テクノロジーの社会受容を加速させた好例として参加者らの関心を引きました。
参加者の一人は「サービスやプロダクトを成功させるには、ユーザーが喜ぶ『ストーリー』を先に描くことが大切だと気づいた」と感想を述べました。

質疑応答:手書きと直感、そして「自分の分身」

質疑応答では、未来を描くための「情報インプットの方法」や「ユーザー像の設計」など実践的なテーマが取り上げられました。
宮川氏は「AIよりも、手書きで考える」「自分の価値観や経験を『分身』としてユーザー像に投影することが重要」と回答。また、未来を考えるためには「2030年の年表が頭に入っていること」、すなわち社会の変化を常に意識しておく視座が大切であることも示されました。
参加者からは「ネットの記事から得た知識ではなく、自らの体験こそがビジネスの原点になっていることに気づかされた」という声もあり、「未来を描くこと」の実践につながっていくことを予感させました。

最後に

スモールビジネスの未来は、既存の延長線上にはないかもしれません。むしろ、「まだ存在しない理想のユーザー」と「自分の物語」を手に、自由に未来へ舵を切る姿勢こそが、新たな市場をつくり、社会を動かす力になる――。本イベントは、このような実感を強く与えてくれる時間となりました。

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